生まれて初めてエロ本を買った。
夜、家にずっといても憂鬱なままだった。
現実逃避の一環で、越谷までラーメンを食べに行った。
今日は、サーターアンダギーとばかうけ数枚しか口にしていなかったので、腹は減っていた。
新店と言っても、ケモノ臭い店だった。豚骨が売りなのだ。
ラーメン屋には30分ほどいて、それから帰ることにしたのだけれど、
何かおかしな行動をとってみたくなった。深夜だったからってのも影響していたのだろう。
うっすらとした眠気を纏った脳は、時に人を思いもよらない行動に駆りたてることがあるということは、
誰でも経験上知っているのではないだろうか。まさにそれだった。
まっ先に思いついたのが、どこかのトイレで自慰行為に及ぶという案だった。
別に性欲が溜まっていたわけでもない。どちらかと言えば、あまりしたい気分ではなかった。
帰りがけコンビニに2軒ほど寄ったが、どちらも深夜アルバイトの店員が男だったので、
入店するや否や気持ちが萎えてしまい断念した。
コンビニの深夜アルバイトで若い女の子を置いておく店舗なんてどうかしてると、頭では分かっていたが、、
そういう店舗がないだろうかと、期待をしてしまった。
その後、24時間営業のK書店に行った。
この書店の半分はアダルトコーナーで占められている。
以前、友人らとふざけてこのアダルトコーナーには何度か入ったことはあったが、今日は一人で、購入目的だった。
どの雑誌を見ても、ピンとこない。ムラムラした感情も湧きあがってこない。
それでも30分くらい店内を物色して、500円程度の手ごろな価格の雑誌(DVD付き)を購入した。
その雑誌を選んだ理由は、単に表紙に載っていた女の子が可愛かったから、という単純な理由だ。
僕は、この歳にして初めて、エロ本を買うという行動をとった。
大学1年次に、北海道での暮らしの際、友人らとふざけて購入したこともあったような気がするが、
それと今回のは何か違った。純粋に自分自身の為に、購入したからだ。
これで家に帰ることにしたのだけれど、途中、昼間スーパーに買いものに行く時に何度もよく通る公園の前を通った。
ここのトイレで…という発想が頭をよぎった。
外灯の下に車をとめ、先程かった雑誌に目を通す。
どうやら表紙に騙されたようだった。
公園向かいの民家には所々、部屋の電気がついている家があったので、なんとなく落ち着かない気持ちになって、
やはり断念して、素直に部屋に帰ることにした。
部屋に帰って、早速、先程のDVDをPCに入れて再生する。
メニュー画面では「ALL PLAY」しか選択することのできない、如何にも安物のDVDであった。
飛ばし飛ばし画面上で喘ぐ女性たちの姿を見ていったが、やはりどうもピンとこなかった。
それでも、折角買ってきたのだからと、自らを騙し、ことに及んだ。
それほど特別な快感は得られなかった。
その後、再びネットの世界を徘徊して、シャワーを浴びることにした。
シャワーを浴びる前に、ふと思いついた。
以前、女の友人から送られてきた写真付きメールの画像を保存していた。
その写真には、今僕が付き合っている彼女とそのメールを送ってきた友人が映っていた。
こんなこと誰にも言えやしないけど、僕はその女の友人の方にそそられた。
特別、セクシャルな格好をしていたわけでもないけれど、僕の頭の中の妄想と相まって、
彼女がとても艶美に見えた。僕は事に及んだ。
先程の光ディスクの映像よりは良かった。けれど、そこまで良いとは思えなかった。
その後、僕はシャワーを浴び、トランクスだけ穿いて、今この文章を打っている。
そろそろ寝よう。